生理的覚醒による優勢反応の強化

日々の日記とか声劇台本とか

とある配信者の恋愛模様 第1話

登場人物

  • 十夜(とおや) ♂ 恋愛相談枠の人。話が上手い。
  • 黒姫(くろひめ) ♀ ネット歴12年。ネット恋愛猛者のはずが十夜君と上手くいかずにストレス全開。
  • 煉獄 恋(れんごく れん)♂ 間男。すぐ寝落ち、あわよくばその先を狙っている。
  • こうへい ♂ 間男その2。量産型イケボ。弾き語りが得意。

 

 以下本編

 

黒姫「今日の夜、電話したいんだけど。5分でいいから、時間取れないかな?」

 

十夜「今日の夜?いきなりどうしたの?」

黒姫「えっと、特に用はないんだけど十夜君の声聴きたくなっちゃって」

十夜「あ~今日の夜は帰りが遅くなりそうでさ」

黒姫「またお仕事?最近大変だね」

十夜「いろいろ忙しくてさ。姫との時間も取ってあげられなくてごめん」

黒姫「そんな謝らないで。こっちこそごめんね、私のマガワワばっかりで」

十夜「女のワガママ叶えてあげるのが男の役割だろ?」

黒姫「もう~」

 

黒姫「また今日も誘えなかったな……」

 

黒姫(私って魅力ないのかな。こんなに沢山のフォロワーがいて、ちょっと病みツイートすれば直ぐに男からリプライが来て、こんなにもこんなにも人気なのに……どうして本当に好きな人は振り向いてくれないのかな……)

 

 

恋「黒姫ちゃん?あれ?黒姫ちゃん聴こえてる?」

黒姫「え?ああ、ごめんなさい」(恋と話す時は声を作る黒姫)

恋「眠くなっちゃったかな?」

黒姫「ううん全然」

黒姫(お前の話がつまらなすぎて意識が飛んでただけだっつーの)

恋「眠くない?もうてっぺん回ったよ?」

黒姫「あ~そうなんだ……ちょっと疲れたかも」

恋「そっ……か。じゃあ、俺が癒そうか?」

黒姫「え?うん」

恋「ほら、じゃあ横になって力抜いて……?俺に身体預けてごらん」

黒姫(うわ、きっも。)

 

黒姫(こいつは煉獄 恋【れんごく れん】。名前から見てわかる通り、痛い中二病患者。部活もバイトもしていない暇な高校生。親が金持ちらしく、やたら私に貢いで来るから一週間に一度1時間だけ相手してる)

 

黒姫「あ~私そういうのちょっと苦手かも……」

恋「あ、ご、ごめんね!いや、違うんだそういうつもりじゃなくて……」

 

黒姫(そういうつもりでしかなかっただろうが!)

 

恋「いや、黒姫ちゃんが疲れてるっていうから俺なりに考えてみたんだけど……ほら、俺の家医者やってるじゃん?」

黒姫「医者!?」(地声に近い声で)

恋「えっ?あれ?言ってなかったっけ?それよりも声……」

黒姫「え!?声!?なんのことかな~?それよりも、恋くんのお家ってお医者さんなんだぁ。へぇ~」

恋「そうだよ?パパが跡を継ぐんだぞっていっつも言ってくるんだけど、もうウザくてウザくて……」

黒姫「そんなこと言っちゃだめ♡それよりも、恋くん。さっきのマッサージ?もう終わり?私まだ疲れ取れてないんだけど……」

恋「えっ!黒姫ちゃんでもさっき苦手って……」

黒姫「恋くんのかっこいい声聴いてたら、お耳のマッサージ受けたくなちゃってぇ」

恋「い、いいよ……じゃあ、たっくさんしてあげるね……」

 

~1時間後~

 

黒姫「ほんっっとキモ過ぎて無理なんですけど!!!」

 

こうへい「まぁまぁ、落ち着きなさいな姫」

黒姫「もう来週絶対貢がせる。欲しいものリストの一番高いやつ絶対に買わせるから!」

こうへい「タダより怖いものはないって話か~。いや、実際貢いでるからタダではないのか」

黒姫「ねえ!ちゃんと聞いてるの!?アンタは私の愚痴聴き役でしょ!?だったら、もっとちゃんと話聞きなさいよ!」

こうへい「へいへい。姫様分かりやしたよ~っと。ん?こうへいがへいへい?ぶふ」

黒姫「次つまんない事言ったらTwitterで晒すから」

こうへい「おっとそれは勘弁だぜ」

 

黒姫(こいつは、こうへい。私の囲いその2。その他の説明はムシャクシャしているから割愛)

 

黒姫「あいつマジで病気だから!これ以上声聴いたら病気になるから!!いくらお金の為って言っても限界があるから~!!!」

こうへい「まあまあ、そう言ってやるな。その、お医者様のお坊ちゃまだって姫のことが好きで好きでたまらないんだろう?」

黒姫「アンタねえ?興味の無い異性から向けられる好意って気持ち悪いって知らないからそんなこと言えるのよ!」

こうへい「俺はそんなことないぜ?女の子は皆等しく可愛いし、好意を向けられたらその気持ちは全部俺の宝物さ」

黒姫「キザ野郎。アタシも大概だけど、アンタみたいに皆に平等な奴は皆に冷たいのと変わらないのよ」

こうへい「おっと耳が痛いねえ。それでも俺は皆に笑っていて欲しいのさ」

黒姫「皆が笑ってる事に不満を持つ子がいるって、自分だけに優しくして欲しい子もいるって言ってんの!!ばか!!」

 

 

黒姫(本当のバカは私だ。そんなの自分が一番よく分かっていた。最初は配信をして、皆と仲良く出来るだけで幸せで。そうしたら、次は好きな人が出来て。嫌いになって、また好きな人が出来て嫌いになって。私のことを分かってくれる人なら誰でもいいって思っていたら、周りは私の囲いの男だけになっていた。それでもいい。それでもいいって十夜に会うまでは思っていたのに……)

 

十夜「黒姫さんこんばんは!初見様かな?よかったらゆっくりしていってね

 

黒姫(最初はありふれたイケカテだと思っていた。私が枠にいった時はお悩み相談枠をしていたから、彼のレベルを確かめるために適当な質問を投げかけた)

 

黒姫「こんばんは。お悩み相談いいですか。人生で初めてネットの人を好きになってしまいました。でもお互い住んでる地域が遠く、遠距離になるのは確実です。諦めてた方がいいのでしょうか」

 

十夜「黒姫さんお悩みありがとう!そうか、インターネットの人と恋に落ちちゃったか……」

 

黒姫(それまでは殆どノータイムで返答していた彼が、暫し逡巡した。このレベルのありふれた質問にも直ぐに答えられないのかと思った矢先)

 

十夜「黒姫さん、先ずは好きな人が出来ておめでとうだね!恋をする女の子ってドンドン可愛くなっていくから、なんだかこっちまで嬉しくなっちゃうよね!まず、リアルとネット恋愛の違い、遠距離恋愛の問題だけど……」

 

黒姫(と魔法のようにどんどん言葉を紡ぐ彼。彼の発する一言一言と言葉のチョイス、リズムに私は完全に心を奪われた。いや、私だけじゃないこの枠にいた全員の胸に響き、リスナーは興奮してコメントを打ち、悩みを打ち明けた私は一瞬にしてこの場のヒロインになった)

 

十夜「いろいろ偉そうなアドバイスをしちゃったけど、一番大事なのは黒姫さん自身の気持ちだからね」

 

黒姫(それから彼と個人的にやり取りするまでは早かった。私の囲いがやったように、ツイッターなど各種SNSをフォローし、彼の一挙手一投足を見逃さないように且つ、それを本人には悟られないように。極めて自然な形で親交を深め、いずれ当人たちが言わなくても、まわりの共通の知り合いが「あの二人付き合ってるんじゃないか」と勘違いするまで秒読み……)

 

黒姫「してくれるはずだったんだけど、まわりが勘違いするどころか私が勘違いしてる女になっちゃうよ、これじゃあ」

 

黒姫(私は鬱屈な気持ちを抱え、それを助長させるが如く来る囲いの男からの連絡を無視していると、1件のメッセージが届いた)

 

十夜「姫今暇かな?昨日の埋め合わせも兼ねて、通話できない?」

 

黒姫(飛び跳ねる程嬉しいけど、ここは拗ねて少し困らせてやろうとワクワクした気持ちを抱き、彼のメッセにしっかり20分の間をおいて返信するのだった)

 

 

黒姫(彼が私に別れ話をするなんてこれっぽっちも知らずに)

 

 2話へ続く↓

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