生理的覚醒による優勢反応の強化

日々の日記とか声劇台本とか

とある配信者の恋愛模様 第3話

登場人物

  • 愛理(あいり)♀ 元気いっぱい明朗快活な女の子。
  • 香(かおり)♀ 基本的にはリスナーだが、時々配信をしている。クールビューティー
  • 十夜(とおや)♂ 学生時代の非モテをこじらせた、(性格が)残念なイケカテ配信者。
  • 黒姫(くろひめ)♀ イケカテを巡っては男をつまみ食いするサークルクラッシャー
  • 大介(だいすけ)♂ 名前だけ登場。リスナーからは大ちゃんって呼ばれてる、弾き語りメインの配信者。

 

以下本編

 

黒姫「でね!最近すっごく推してる配信者さんがいてね!」

香「また始まった。姫の配信者推しの話。今度は何週間で付き合って何週間で別れるのかな~?」

黒姫「もう!今回の人は今までと違うもん!」

香「違うってどう違うの?」

黒姫「ん~そうだなぁ、声が格好いい!話が面白い!」

香「直ぐ寝落ち通話も誘ってくる、あわよくばエロイプ狙い」

黒姫「そんなことしませーんー」

香「ってことは、女には困っていない遊び人だ」

黒姫「せっかく香にも教えてあげようと思ったのに、そんなこと言うなら教えてあげなーい」

香「それは困るわね。だってその男がどんなやつなのか調べて、姫に悪い虫がつかないようにするのが、私のネットを始めた理由だもの」

黒姫「本当昔から心配症だよね。もう昔の香ちゃんに守られてばっかりの姫ちゃんじゃないんですよ?」

香「姫はいつだって姫だよ」

 

香(そう。アナタはいつまでも馬鹿で世間知らずな姫。そして私はさながら復讐を誓う側近。必ず、必ず私と同じ思いさせてあげるから待っててね、姫)

 

 

愛理「十夜ってさ、どんな女の子がタイプ?」

十夜「え?いきなりどうしたんだよ」

愛理「いやさ~、十夜って枠開いても女の子ば~っかり来るし一応モテるじゃん?」

十夜「言葉に見えない棘を感じる」

愛理「でさ?私もその中の憐れな一人なわけだけど」

十夜「通話切ってもいいか?」

愛理「冗談だって。でさ?私も……ほら、彼氏とか欲しいなぁって……」

十夜「俺じゃダメなの?」

愛理「えっ……!?!?」

愛理「べ、別にアンタのこと嫌いじゃないけど、でも付き合うとかそういうのとか考えてなかったっていうか、でも何だかんだで毎日通話してくれるし……」

十夜「あ、愛理さ~ん……?」

愛理「でもでもでも、アンタがどうしてもって言うなら考えてあげなくもないかなぁ……みたいな……だって私もアンタのこと……」

十夜「でもさ!!やっぱ愛理と俺は付き合うってより友達だよな!」

愛理「ふぇっ!?」

十夜「それにさ、愛理の彼氏は俺みたいな軽薄な奴じゃなくて、もっとこう真面目っていうか、誠実っていうか、嘘つくことができない!くらいのやつがあってるよ!」

愛理「うん……そうかも……」

十夜「そうだよ!うん、ネット恋愛マスターの俺がいうんだから間違いない!な!」

愛理「うん……真面目で優しくて私だけを見てくれる人がいい……」

十夜「せやせや……」

 

愛理「……」

 

十夜「……」

 

愛理「十夜、私と付き合うことにならなくて嬉しそう」

 

十夜「そんなことななななないですけどぉ!?」

 

愛理「もういい。寝る」

十夜「ちょ、ちょっと待てよ愛理!」

愛理「私と付き合ったら他の女の子と遊べないもんね」

十夜「そういうわけじゃなくて」

愛理「おやすみ」

十夜「ちょっと話を!愛理!あいり!!!」

 

 

香「今日はいつもより早いのね。愛理と喧嘩でもしたの?」

十夜「相変わらずのエスパーだな。」

香「その落ち込みようからして告白でもされたのかしら」

十夜「ほんっとうに監視カメラとかないよな!?!?」

香「分かりやすいから、あの子も十夜も」

十夜「正確には告白されてはいないんだ。愛理が彼氏が欲しいっていうから、いつもの調子で俺じゃダメか?って聴いたら、なんか変な空気になっちまって」

香「女たらし、クズ、最低」

十夜「今はその罵倒が安心するよ」

香「変態、ハゲ、犯罪者予備軍」

十夜「……」

香「スギ、ヒノキ、ブタクサ野郎!」

十夜「最後のはもう罵倒でも何でもないだろ!!」

香「私の持ってるアレルギーよ。ハックション(棒)」

十夜「お前、俺のこと嫌いだろ……」

香「好きって言ったら困るくせに」

十夜「ああああああもう!どうすりゃいいんだよ!!」

香「ねえ」

十夜「なんだよ!」

香「私が十夜のこと好きって言ったら困るくせに」

十夜「……困らねえよ」

香「きゃー(棒)」

十夜「でも、今は困る」

香「待つのは得意だからいいわよ。今までだってずっと愛理の後だったし」

十夜「そう拗ねるなよ。今までのネットの関係全部清算したらさ、もう一回ちゃんと告白するから」

香「もちろん愛理以外の女の清算もしてくれるのよね?」

十夜「もちろんだ」

 

香(完璧だった。十夜は元々愛理みたいな女がタイプじゃないって知っていたし、世間知らずの姫にようやくこれで勝てる。この日の夜、私は誰の声とも分からない嬌声をあげて勝利を確信したのだった)

 

~3か月前~

香「別れたってどういう意味……?」

黒姫「え?だからそのままの意味だよ。だって歌うたってるだけでつまんないんだもん」

香「で、でも、私が大くんの枠教えてあげた時は歌聴いてるだけで幸せだって……」

黒姫「教えてあげたってなに?その言い方姫好きじゃない」

香「ごめん……」

黒姫「私が通話誘ってもずっと歌ってるだけだし、何か面白い話して~って言ってもつまんないし?」

香「……」

黒姫「それなのに私の事好きって言うし?愛理の頼みの手前、しょうがなく付き合ってあげたのにさ~」

香「私……無理に頼んでないよ。姫が好きなら付き合ってみればって……」

黒姫「そうだっけ?細かいこと忘れちゃった。まぁ、FAN数も私と彼じゃあ桁が違うし、いずれはこうなる運命だったのかも~」

 

香(私は大ちゃんが好きだった。でも、FAN数も人気も姫の方があるから、大ちゃんも私と付き合うより姫と付き合った方が、もっとたくさんの歌を聴いてもらえて幸せになれるってそう思ってたのに。許せない。絶対に許せない……)

 

 

愛理「話があるって……なにかな……」

十夜「最近俺のこと避けてただろ」

愛理「だって……」

十夜「……」

愛理「でも、覚悟決めたんだ。もう、逃げない。十夜からも、自分からも」

十夜「愛理のそういう所好きだよ。惚れそうになる」

愛理「ばか」

 

愛理「ねえ、十夜」

十夜「はい」

愛理「私、あなたの事が好き。毎日あなたの声聴いていたい。配信じゃなくて、私に話しかけて欲しい。時々他の女の子と通話したり、遊んだりしてもいいけど、私を十夜のいちばんにしてほしい」

十夜「……ごめん」

愛理「遠距離だし、会ったこともないけど、もし付き合ってくれたら私の内緒のお散歩ルートを教えてあげる。通話越しじゃ分からない、花の匂いとか、電車の音とか、公園で遊ぶこどもの姿とか」

十夜「……おれ、こども苦手だしさ」

愛理「きっと子供も好きになるよ。だって、十夜優しいもん。つまんないって言いながら、私の買い物にだって付き合ってくれる」

十夜「……俺は優しくないよ」

愛理「じゃあ、振って」

十夜「え……」

愛理「私がもう十夜の事一生思い出さなくて、済むように、ひどく振ってよ」

十夜「それは……できないよ……」

愛理「十夜のそういう所ほんと嫌い……だけど、大好き……」

十夜「ごめん、愛理」

愛理「ありがとね、色々と。最後に私のマガママに付き合ってくれてありがと」

十夜「最後って……もう一生話せないみたいなこと言うなよ」

愛理「愛理ちゃんを振った罰として、十夜君は一生愛理ちゃんと話せません!」

十夜「ばかなこと言うなよ!!笑えない冗談はやめてくれよ……」

愛理「冗談じゃないよ。でも安心して?十夜が香を泣かせないようにいつでも見張ってるから」

十夜「知ってたのか……」

愛理「女の子同士の情報網はヒカリより早いんです」

十夜「参ったな」

愛理「それじゃあ、バイバイ」

十夜「ほんとに、もう話せないのかな」

愛理「しつこい男は嫌われるぞ~?そうだな、じゃあ、香と上手くいかなかった時は、特別に頼ってもいいよ?」

十夜「うん、わかった」

愛理「それじゃあ、ほんとのほんとに、バイバイ」

十夜「うん。今までありがとう。愛理」

 

愛理(さようなら、十夜。愛理があなたと出会うことはもう二度とないし、逆にいつだってあなたの傍にいるわ。だって

 

 

香 は 愛 理 の サ ブ ア カ ウ ン ト な ん だ も ん ♡

 

 

最終話へ続く

 

とある配信者の恋愛模様 第2話

登場人物

  • 十夜(とおや)♂ 自称インターネット恋愛の達人(笑)
  • 黒姫(くろひめ)♀ 十夜の事が好きだが、最近相手にされずにイライラ。
  • 愛理(あいり) ♀ 明るくて元気いっぱいの女の子。
  • 香(かおり)♀ クールな美人。
  • こうへい ♂ 弾き語りが得意。十夜のリアルの友人。

 

以下本編

 

黒姫「今日の夜、電話したいんだけど。5分でいいから、時間取れないかな?」

 

十夜(いつもと同じ時間、同じ女から、違う内容のメッセージが届く)

 

十夜「今日の夜?いきなりどうしたの?」

黒姫「えっと、特に用はないんだけど十夜君の声聴きたくなっちゃって」

 

十夜(今まではこんな事一度も言い出したことなかったのに……誰かに入れ知恵でもされたか?ここは適当に言い訳して……)

 

黒姫「またお仕事?最近大変だね」

十夜「いろいろ忙しくてさ。姫との時間も取ってあげられなくてごめん」

黒姫「そんな謝らないで。こっちこそごめんね、私のマガワワばっかりで」

十夜「女のワガママ叶えてあげるのが男の役割だろ?」

黒姫「もう~」

 

十夜(本当に誰の入れ知恵かは知らないが、余計なことはしないで欲しい。最近やっと、俺が黒姫に対して冷めてきている空気を作り出して、尚且つそれを相手に遠回しに悟らせることが出来ていたっていうのに。まぁいい。所詮黒姫は、よりいい女を探すための足掛かり、ツールに過ぎないからな)

 

 

十夜「今日の夜時間ないかな?なんだか無性にアイリが欲しい」

愛理「なんだか表現がいやらしい」

十夜「おっとそれは失礼。俺にはそんな意図は微塵もなかったが、意識させてしまったなら素直に謝ろう」

愛理「そういう意地悪なこと言う人とは通話してあげませ~ん」

十夜「ごめんって!冗談さ!今日も寝る前にアイリの声が聴きたいんだよ」

愛理「調子がいいんだから。じゃあ、特別に許してあげます」

 

十夜(この子は愛理。俺のお気に入りその1。先週末に俺の配信に来た女の子で、なかなかノリがよくていい。下ネタ耐性が無いのか反応が面白い)

 

愛理「でね?香(かおり)ったら自分の配信には来いって言うのに、私の配信全然来てくれないんだよ!私は毎回コメントとかもしてるのに酷くない!?」

十夜「確かにそれは愛理がちょっとかわいそうだな。香にもそれとなく伝えておくよ」

愛理「え?香と繋がってるの?」

 

十夜(あ、やっべ)

 

十夜「ん?俺の配信に来た時に言っておくってことなんだけど

愛理「なんだ、そっか。うん。安心した」

十夜「安心?」

愛理「そうだよ!安心しました。十夜みたいな変態に友達を汚されたくないもん」

十夜「おいおい酷い言い様だな。その変態と毎晩こうやって通話しているのはどこの誰だよ」

愛理「そ、それは私だけど……」

 

十夜(そう、俺は彼女とも毎晩通話している。大体22時から24時の日付が変わる前までの間で、約30分から1時間。明確な基準は意識して設けない。相手に悟られないようにランダム性を保つ。)

 

愛理「そろそろ日付変わっちゃうね。寝なくて平気?」

十夜「そうだな」

 

十夜(ここでのパターンは2つ。素直に寝るか、駄々をこねるかだ。だが、パターンは多いに越したことはない)

 

十夜「最近寝つきが悪いから愛理が一緒に寝てくれればよくなるかも」

愛理「はぁ?寝落ち通話したいってこと?」

 

十夜(まずった。寝落ち通話なんてしたら、次の女の子との通話にありつけないじゃないか)

 

十夜「でもほら、俺男の子だからさ?寝る前にエッチなことしなきゃ眠れないっていうか、何というか」

愛理「さ、最っっっ低!!!変態!もう通話切るからね!」

十夜「ま、待て愛理冗談だ!」

 

愛理「おやすみ!!!」

 

……

 

十夜(まあ、よしとしよう。何事も結果が全てなのだ。そう自分に言い聞かせていると、まるで今のやり取りを見ていたんじゃないかってタイミングでメッセが届く)

 

香「今日はいつもより遅いって事は、差し詰め愛理の相手かしら?」

 

十夜「おいおいエスパーかよ……」

 

十夜(というわけで、日付が変わってからはエスパー少女香との通話がはじまる)

 

 

香「で?どんな悪口を愛理から吹き込まれていたのかしら?」

十夜「待て待て、俺は【愛理と話していた】とは言ったが、【愛理が香の悪口を言ってた】なんて一言も言ってないぞ?」

香「でも言っていたでしょ?私の悪口。大方内容は、私の配信に来てくれない。私は香の配信にいってコメントもいっぱいするのに、とかかしら?」

十夜「これはエスパーの前にハッキングを疑うべきだな……」

香「そんな難しいことはできないわ。ただの盗撮よ」

十夜「盗撮!?俺盗撮されてるの!?」

香「あなたのiPhoneのカメラをハッキングさせてもらってるわ」

十夜「やっぱりハッキングじゃねえかよ!!でもカメラのハッキングじゃ、チャットのやり取りまで分からなくないか?」

香「iPhoneのカメラに映るあなたの瞳の反射から愛理とのやり取りを確認しているわ。愛理だけじゃなく、他の女とのやり取りも……ね?」

十夜「そこまでするなら普通にSNSをハッキングした方が早くないですかね……?」

 

十夜(とういか俺iPhoneじゃないし。他の女の子とのやり取りというワードを華麗にスルーした俺は、その後も愛理のご機嫌を取りつつ眠りにつくのであった)

 

 

十夜(次の日。俺は数少ないリアルの男友達と通話をしていた)

 

十夜「だからさ、名前ってすごい大事なプロセスだと思うの」

こうへい「ほう?詳しく聴かせろ」

十夜「リアルだったら、名字があって名前だろ?大人になるにつれ、異性間では基本名字呼びだ。そこから、関係が深まるとあだ名や愛称が使われて、さらに進むと名前呼びになると」

こうへい「それで?」

十夜「それがインターネットだと、基本自分でニックネームを付けるだろ?本名でやるやつは殆どいない。これが心理的距離を近づける一つの要因だと思うんだよな。初対面でも誰でも、現実でいう名前呼び。ほら、接客業とかで客を【お客様】じゃなくて名前で呼べって言われてるみたいにさ」

こうへい「つまり、アレか?ネットでイタイ名前を自分で付けてるやつには気をつけろと?無意識にそう呼ばれたがっているって?」

十夜「流石こうへい。俺の意図が伝わって何よりだ」

こうへい「ん~そうか……」

十夜「あれ?インターネット恋愛マスターの俺の理論にご不満?」

こうへい「だせぇ達人だな。いや、名前なんて結構みんな適当に決めてるだろ?中には本名でやってるやつもいるかもしれねえし……」

十夜「そんな奴ぜってーいねぇから!もしいたら、ただの情弱かネットリテラシーのない馬鹿だな。まぁ、こうへいがもしネットやることになったら俺がしっかりアドバイスしてやるからよ!安心していいぜ」

 

こう「ああ、頼りにしているよ」

 

 

3話へ続く↓ 

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とある配信者の恋愛模様 第1話

登場人物

  • 十夜(とおや) ♂ 恋愛相談枠の人。話が上手い。
  • 黒姫(くろひめ) ♀ ネット歴12年。ネット恋愛猛者のはずが十夜君と上手くいかずにストレス全開。
  • 煉獄 恋(れんごく れん)♂ 間男。すぐ寝落ち、あわよくばその先を狙っている。
  • こうへい ♂ 間男その2。量産型イケボ。弾き語りが得意。

 

 以下本編

 

黒姫「今日の夜、電話したいんだけど。5分でいいから、時間取れないかな?」

 

十夜「今日の夜?いきなりどうしたの?」

黒姫「えっと、特に用はないんだけど十夜君の声聴きたくなっちゃって」

十夜「あ~今日の夜は帰りが遅くなりそうでさ」

黒姫「またお仕事?最近大変だね」

十夜「いろいろ忙しくてさ。姫との時間も取ってあげられなくてごめん」

黒姫「そんな謝らないで。こっちこそごめんね、私のマガワワばっかりで」

十夜「女のワガママ叶えてあげるのが男の役割だろ?」

黒姫「もう~」

 

黒姫「また今日も誘えなかったな……」

 

黒姫(私って魅力ないのかな。こんなに沢山のフォロワーがいて、ちょっと病みツイートすれば直ぐに男からリプライが来て、こんなにもこんなにも人気なのに……どうして本当に好きな人は振り向いてくれないのかな……)

 

 

恋「黒姫ちゃん?あれ?黒姫ちゃん聴こえてる?」

黒姫「え?ああ、ごめんなさい」(恋と話す時は声を作る黒姫)

恋「眠くなっちゃったかな?」

黒姫「ううん全然」

黒姫(お前の話がつまらなすぎて意識が飛んでただけだっつーの)

恋「眠くない?もうてっぺん回ったよ?」

黒姫「あ~そうなんだ……ちょっと疲れたかも」

恋「そっ……か。じゃあ、俺が癒そうか?」

黒姫「え?うん」

恋「ほら、じゃあ横になって力抜いて……?俺に身体預けてごらん」

黒姫(うわ、きっも。)

 

黒姫(こいつは煉獄 恋【れんごく れん】。名前から見てわかる通り、痛い中二病患者。部活もバイトもしていない暇な高校生。親が金持ちらしく、やたら私に貢いで来るから一週間に一度1時間だけ相手してる)

 

黒姫「あ~私そういうのちょっと苦手かも……」

恋「あ、ご、ごめんね!いや、違うんだそういうつもりじゃなくて……」

 

黒姫(そういうつもりでしかなかっただろうが!)

 

恋「いや、黒姫ちゃんが疲れてるっていうから俺なりに考えてみたんだけど……ほら、俺の家医者やってるじゃん?」

黒姫「医者!?」(地声に近い声で)

恋「えっ?あれ?言ってなかったっけ?それよりも声……」

黒姫「え!?声!?なんのことかな~?それよりも、恋くんのお家ってお医者さんなんだぁ。へぇ~」

恋「そうだよ?パパが跡を継ぐんだぞっていっつも言ってくるんだけど、もうウザくてウザくて……」

黒姫「そんなこと言っちゃだめ♡それよりも、恋くん。さっきのマッサージ?もう終わり?私まだ疲れ取れてないんだけど……」

恋「えっ!黒姫ちゃんでもさっき苦手って……」

黒姫「恋くんのかっこいい声聴いてたら、お耳のマッサージ受けたくなちゃってぇ」

恋「い、いいよ……じゃあ、たっくさんしてあげるね……」

 

~1時間後~

 

黒姫「ほんっっとキモ過ぎて無理なんですけど!!!」

 

こうへい「まぁまぁ、落ち着きなさいな姫」

黒姫「もう来週絶対貢がせる。欲しいものリストの一番高いやつ絶対に買わせるから!」

こうへい「タダより怖いものはないって話か~。いや、実際貢いでるからタダではないのか」

黒姫「ねえ!ちゃんと聞いてるの!?アンタは私の愚痴聴き役でしょ!?だったら、もっとちゃんと話聞きなさいよ!」

こうへい「へいへい。姫様分かりやしたよ~っと。ん?こうへいがへいへい?ぶふ」

黒姫「次つまんない事言ったらTwitterで晒すから」

こうへい「おっとそれは勘弁だぜ」

 

黒姫(こいつは、こうへい。私の囲いその2。その他の説明はムシャクシャしているから割愛)

 

黒姫「あいつマジで病気だから!これ以上声聴いたら病気になるから!!いくらお金の為って言っても限界があるから~!!!」

こうへい「まあまあ、そう言ってやるな。その、お医者様のお坊ちゃまだって姫のことが好きで好きでたまらないんだろう?」

黒姫「アンタねえ?興味の無い異性から向けられる好意って気持ち悪いって知らないからそんなこと言えるのよ!」

こうへい「俺はそんなことないぜ?女の子は皆等しく可愛いし、好意を向けられたらその気持ちは全部俺の宝物さ」

黒姫「キザ野郎。アタシも大概だけど、アンタみたいに皆に平等な奴は皆に冷たいのと変わらないのよ」

こうへい「おっと耳が痛いねえ。それでも俺は皆に笑っていて欲しいのさ」

黒姫「皆が笑ってる事に不満を持つ子がいるって、自分だけに優しくして欲しい子もいるって言ってんの!!ばか!!」

 

 

黒姫(本当のバカは私だ。そんなの自分が一番よく分かっていた。最初は配信をして、皆と仲良く出来るだけで幸せで。そうしたら、次は好きな人が出来て。嫌いになって、また好きな人が出来て嫌いになって。私のことを分かってくれる人なら誰でもいいって思っていたら、周りは私の囲いの男だけになっていた。それでもいい。それでもいいって十夜に会うまでは思っていたのに……)

 

十夜「黒姫さんこんばんは!初見様かな?よかったらゆっくりしていってね

 

黒姫(最初はありふれたイケカテだと思っていた。私が枠にいった時はお悩み相談枠をしていたから、彼のレベルを確かめるために適当な質問を投げかけた)

 

黒姫「こんばんは。お悩み相談いいですか。人生で初めてネットの人を好きになってしまいました。でもお互い住んでる地域が遠く、遠距離になるのは確実です。諦めてた方がいいのでしょうか」

 

十夜「黒姫さんお悩みありがとう!そうか、インターネットの人と恋に落ちちゃったか……」

 

黒姫(それまでは殆どノータイムで返答していた彼が、暫し逡巡した。このレベルのありふれた質問にも直ぐに答えられないのかと思った矢先)

 

十夜「黒姫さん、先ずは好きな人が出来ておめでとうだね!恋をする女の子ってドンドン可愛くなっていくから、なんだかこっちまで嬉しくなっちゃうよね!まず、リアルとネット恋愛の違い、遠距離恋愛の問題だけど……」

 

黒姫(と魔法のようにどんどん言葉を紡ぐ彼。彼の発する一言一言と言葉のチョイス、リズムに私は完全に心を奪われた。いや、私だけじゃないこの枠にいた全員の胸に響き、リスナーは興奮してコメントを打ち、悩みを打ち明けた私は一瞬にしてこの場のヒロインになった)

 

十夜「いろいろ偉そうなアドバイスをしちゃったけど、一番大事なのは黒姫さん自身の気持ちだからね」

 

黒姫(それから彼と個人的にやり取りするまでは早かった。私の囲いがやったように、ツイッターなど各種SNSをフォローし、彼の一挙手一投足を見逃さないように且つ、それを本人には悟られないように。極めて自然な形で親交を深め、いずれ当人たちが言わなくても、まわりの共通の知り合いが「あの二人付き合ってるんじゃないか」と勘違いするまで秒読み……)

 

黒姫「してくれるはずだったんだけど、まわりが勘違いするどころか私が勘違いしてる女になっちゃうよ、これじゃあ」

 

黒姫(私は鬱屈な気持ちを抱え、それを助長させるが如く来る囲いの男からの連絡を無視していると、1件のメッセージが届いた)

 

十夜「姫今暇かな?昨日の埋め合わせも兼ねて、通話できない?」

 

黒姫(飛び跳ねる程嬉しいけど、ここは拗ねて少し困らせてやろうとワクワクした気持ちを抱き、彼のメッセにしっかり20分の間をおいて返信するのだった)

 

 

黒姫(彼が私に別れ話をするなんてこれっぽっちも知らずに)

 

 2話へ続く↓

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